

エンターザボイド観ました。
メインドラッグはLSD。
「死は究極のトリップ」っていう言葉がキーワードかなって思った。
主人公や主人公の妹は良い気分になりたいがためにLSDを服用するけれど、作中で何度も「死んだらどうなる?」と問いかけるシーンがある。事故死であれ他殺であれLSDの服用であれ、”トリップしたい”という点においては変わらないことなのかな。
死んだときに自分の過去が見える
ということで、エンターザボイドの内容の構成は、最初に主人公が死んで、過去を語るといったもの。
ある映画は語りで過去を描くものもあるけど、ドラッグを利用してるからこそ説得力のある構成だなって感じた。
また、カメラワークが面白くて。
序盤は主人公の視界に映ったものがそのまま映像になっている。トリップしているところはもちろん、警察に追われて焦るシーンもカメラワーク(視界)がぐわんぐわんと動く。
そして主人公が銃で撃たれたあと、魂が体から抜けてトリップ(=死)する。そのまま回想編に映るんだけど、これのカメラワークが主人公の背後を映したもの。つまり別の場所に行ってしまった魂が自分を見ている状態を表現しているのかなと。
深い内容は特に無い。
主人公はディーラーなので、薬を届けようと「THE VOID」という建物に入る。
そこで麻薬の取引を行おうとしたら突然警察がやってきて、トイレに立て籠もった主人公を銃殺する。主人公が殺されたーっと慌てふためく客。これだけの内容を45分使ってて、あとは回想。両親の事故死がフラッシュバックしたり、ドラッグとどう付き合ってきたのかや、彼女との思い出など、ただひたすら主人公の歩んできた道を描いている感じ。
その回想はいずれ「序盤」に戻る。
トイレの中で死ぬ主人公を上から眺めてた視界はどんどん遠ざかっていく。魂の浮遊を想起したというか。
そしてタイトルの「ENTER THE VOID」
VOIDは「無」を意味していて、トリップの状態にあたると思う。LSDと死の意味で。
主人公が作中で興味を持っていた「チベット死者の書」は輪廻転生だとか死後の世界について書かれている本です。
浮遊した視界が黄色のライトや、ライトに当てられた灰皿に視界が向かっていく映像表現もその本に通ずるもの。
内容は無いけど
宗教的観点で観られるドラッグ映画だったので面白かった。
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